オープンから24年目を迎える人気ステーキ店が味わった デスマッチよりも危険な飲食店経営の真実

ビジネス書
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今回ご紹介するのは、元プロレスラーの松永光弘さんが経営されている
『デンジャーステーキ』の店舗についての本です。

『デスマッチよりも危険な飲食店経営』をいうフレーズを見て、思わず読んでみました。

もっさん
もっさん

プロレスラーからステーキ店経営者への転身。
なんだかワイルドな内容の本なのかな・・と思い読んでみました。
しかし、松永さんが長年培われてきたご経験と
店を潰さないための施策、そしてご自身の人柄が書かれています。

1.この本『デスマッチよりも危険な飲食店経営の真実』の簡単な紹介

『本のタイトル』

オープンから24年目を迎える人気ステーキ店が味わった
デスマッチよりも危険な飲食店経営の真実 全207ページ

『著者・出版社』

松永光弘さん ワニブックス

『この本を読んだきっかけ』

『デスマッチよりも危険な飲食店経営』をいうフレーズを見て
思わず手に取ってみました。

あとは、元プロレスラーの方がどのような店舗経営をなさっているかに
興味を持ちました。

『学びとなること』

読むことで、

●今、何かにあきらめかけてしまいそうな人
●コロナ禍を生きる上で、何かヒントをつかみたい人
●飲食店経営の、お金の実態を知りたい人

にとって、得られるものがあると思います。

幾度となくピンチに陥っても、その都度どのようにして乗り越えたのか・・
リアルな数字込みで、記載されています。

2.この本の要点

要点①:コロナとの闘いを『デスマッチ』にしてはいけない

デスマッチ=殺し合い、ではない。

デスマッチで本当に大事なことは
『死ぬかもしれない状況になっても、リングからしっかりと生きて帰ってくること』

オープン時の借金、狂牛病問題、フランチャイズの失敗、輸入肉の高騰等、幾度となく地獄を見てきたが
コロナ禍を生き抜く方策を見出すのに、その24年間の経営体験が役立った。

要点②:24年間個人経営を守り抜いたビジネス術

それまでプロレスラーとして得た名声やプライドは、邪魔だと切り捨てた。
自分は今、なぜここにいるか?を常においておかないと、どんどん楽なほうに流される。

ステーキ店として選んだ立地は、近くの住民しか通らない殺風景な場所。
ここに、とにかく「ステーキ屋がある」と、デザインは無視してアピール。
どんなにおしゃれしても、自分の理想を掲げても、ステーキ屋として認識されなければ
店を潰すこととなる。
そんなことは恥ずかしいとやらない人もいるが、そんな恥やプライドは捨てるべきだ。

また

・『家賃の安さ』
・『他ではやらない・真似できないステーキ肉の提供』
・『自虐広告』
・『味のバリエーション』
・『業界常識をぶち壊した、デンジャーステーキに絞ったメニュー構成』
・『エビス生ビール300円』


等、固定費や低コストの実現、目玉商品を据えることも
店を守り抜くことができた要因。
そして「どうしよう?」と思ったら
二度「どうしよう?」と言わず「こうしよう!」と即切り返し実行すべき。

どうしようと考えているうちは、何も進まず緩やかに後退していく。

即行動すべき。何かアイデアが浮かんだとしても、行動が遅いと二番煎じになることもある。
誰もが思いつかない、そんな手があったのかと悔しがるくらいのやり方でないと
大きな成果は得られない。

要点③:松永さんが大切にした損得抜きの人情術

アルバイトを怒ったことが、一度もない。
それは『従業員の為に働きやすい環境に気を遣っている』から。
皿を(仕方なく)割ったとして、怒っても何も解決しない。むしろ時間が無駄となる。
なにより怒ることで店の雰囲気が悪くなる。
お客さんをお出迎えする場所だから、雰囲気は絶対に悪くしてはいけない。
そう考えると、アルバイトを怒る理由なんて、そうそう無い事に気が付いた。

毎日、松永さんは厨房に立っている。
その理由の1つが「厨房の大変さを共有する」為。
毎日いて大変さがわかっているから、スタッフの限界も知ることができる。

地元の人達とは、意識的に交流を深めていき
他飲食店がやらなかった『お祭りのちょうちん出し』にも、費用をかけて協力。
『この店は地域のために協力してくれる』と好印象も持ってもらえれば
商売をやっていくうえでプラスに働く。

また、プロレスを引退したあとも、ファンが来店したり
コロナ禍に通販で始めた冷凍肉販売を、いち早く購入して(=現金を早く届けようとして)くれた。
ファンが今でも、自分の人生を追いかけてくれている。
自分が店に居ないと、ファンの方が来店したときにがっかりさせてしまう。
そう思い、厨房に立ち続けている。

要点④:倒れても、カウント10までに立ち上がれば生き残れる。店の運命を大きく変えるサバイバル術

『飲食業界の常識を疑え』
原価率3割が、常識。しかしお客さん目線では、原価が高いほうがお得感を持ってもらえる。
結果、原価をかけたら売り上げが伸びた。

『業者に「もうちょい安くして」は禁句』
業者側もあくまでビジネス。適正価格を出しているのに「安くして」は印象が悪くなる。
実際「安くしろばかり言っている店は、早く潰れている。それ以外経営的に能がないから」と業者談。

『ひらめきを気のせいで流してしまうな』
自分のひらめきを、なかったことにしてしまう人が少なくない。
店や厨房でふと浮かんだことは、真理をついていることが多い。

『常に目玉商品を提供し続けるべし!』
リピーターに繋げるには、目玉商品を常に提供し続けなければならない。
しかも「エビス生ビール300円」等、2度見されるくらいのインパクトがなければ、意味がない。

『先行投資をケチると、あとで痛い目に逢う』
ある程度余力があるうちに先行投資しておくと、あとで助かることが多い。

『毎日新規客を開拓する心持ちで戦え』
固定客は大事だが、いつまでも常連でいてくれるとは限らない。
どんな常連さんも、最初は新規客。
それこそ毎日、新規客を開拓するくらいの気持ちでいないといけない。

3.読んだ感想とまとめ

本を読んだあと、実際に店に行ってみました。
そこには、松永さんが厨房に立たれているお姿と
満席の店内。そして店頭の待ち客。
コロナ禍のさなか、ここまで活気がある飲食店もなかなか無いのでは?と思います。
ステーキ店で『予約客』がいるのにも驚きでした。

20年以上の歴史ある店舗ですが『店内の清潔感』にも驚きました。
店舗運営上、どうしてもホコリが溜まってしまう箇所がありますが
それが一切ナシ!
清掃面で、非常に努力されている様子が伺えました。

現在を乗り切っている要因は、狂牛病問題を乗り越えたから・・と書かれています。
その様子を『〇百万の損失』等とリアルな数字で表現されていて
どう乗り越えたか?何があったからコロナでも生き残れたか、読み取れます。

加えて、現状があるのは間違いなく『松永さんご本人の人柄』です。
プロレスラー時代のファンを大切に、そして感謝して
店に来店する常連さんや新規のお客さん、周囲の住民や地域の為にも働きかけ
さらには一緒に働くスタッフと現場で苦楽を共にし、怒ることなく分かち合っている。
経営者としての考えも随所に記載されていますが、やはりご本人自身に魅力があって
周りがそれを認めてくれていることが大きいのではと思います。

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